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この日は98%が欠ける部分月食があった。もうほとんど皆既月食と言ってよい食分の月食である。
関西では月が欠けた状態で昇ってくる月出帯食(げっしょくたいしゅつ)で、欠け始めは見えない。最大食分は月の出から30分後くらいの午後6時過ぎである。
今回の月食は観察の好条件が重なっている。まず時刻が多くの人が活動している時間帯である。また月の出直後なので月の高度が低く、視線が水平に近いため観察が楽である。さらに真冬に比べると多少は気温もマシである。最後に天気も高気圧におおわれ快晴の予報である。
一方でデメリットもあり、先に書いたように月食帯食なので、月食のすべては観測できない。また高度が低いため空が開けた場所をあらかじめ探しておかねばならない。TVのニュースなどで「東の空が開けた場所…」というアナウンスが目についたが、正確には、「北寄りの東の空」であり、ちょっとした角度の違いで建物の影になったりする可能性があり前日のロケハンなどが必要である。最後に月の出の午後5時半くらいから観測を始めようとすると、宮仕えの勤め人にはツラい。
さて当日、急いで帰宅。すでに北東の空の低い位置に赤い月が現れている。いったん家に戻り、あらかじめ用意していた望遠レンズをつけたデジカメとタイムラプス用のデジカメの2台を持ち出し、駐車場の端で撮影に挑む。望遠レンズは、アナログ時代の200mmレンズ+1.4倍テレコン+マイクロフォーサーズ用アダプタで、560mm相当である。ピントは手動となるが、拡大画面を見ながらピント合わせができるのでよし。またISOとマニュアル露出により赤銅色の月の様子を捉え、10秒のセルフタイマーで手ぶれをわずかに抑え、下写真のようなまぁまぁの画像を得ることができた。ちまたでは「iPhoneの限界」がトレンドワードに入っていたらしい。これはスマホで撮れる写真ではないわな。逆に天体望遠鏡に直づけした画像よりは見劣りがするが、むちゃくちゃ重い望遠鏡(と三脚)を駐車場に据えるわけにはいかないので、まぁ今回は始めから諦めていた。

ちなみに地球の影に入って見えないはずの月の表面が見えるのは、地球の端を通過した太陽光線が屈折して月を照らすためだ。赤銅色なのは、この通過時に波長の短い青色系は散乱してしまい、波長の短い赤色系だけが残るため。
6時を過ぎると、地球の影から月が姿を現しはじめる。月の表面に落ちる黒い弧の部分を延長して一周させると、地球の大きさが想像できる。
見つけられるかな?
月の月齢は正午で1.7、撮影時刻で約1.9なので、ほぼ三日月(暦でも三日月)。
金星は12月末までの間は、夕方西の空に見える(宵の明星)。いま太陽より先にあるが、徐々に地球に近づいてきて、太陽と地球の間に入ってくる。地球に近づくほど見かけの大きさは大きくなるが、太陽にも近づくため影の部分の割合が大きくなる。つまり金星の見た目の明るさは大きくは変わらない。それでも12月4日が、ほどほどに近く、ほどほどに輝く部分の割合も多くて、もっとも明るく見えるようだ。
ちなみにこの日、火星は合といって、太陽の向こう側にある状態。火星と地球がもっとも離れた位置と言える。写真でいうと三日月の右下に隠れている太陽のその先に火星があるということだ。地球からの距離は約3億8000万キロである。
昼からの休暇を利用して職場のある猪名川町の最高峰・大野山へ行ってきた。
大野山アルプスランドの名称があるこの地域は標高753mとこの地区の最高峰。デイ専用のキャンプ場や猪名川天文台があり、山中に巨石が散在するエリアもある。
猪名川展望台
大野山アルプスランドは何度も訪れたことがあるのだが、猪名川展望台は開館時間が限られている関係で、今回初めて中に入ることができた。ちなみに猪名川展望台の開館時間は、木~日曜日の13時30分~21時30分(現在は20時に時短中)である。
中は一階にプラネタリウム室があり、階段を上がると天体望遠鏡のある観察室がある。
プラネタリウム室は、中央に小さな機械が設置された半径3m程度の円形の小部屋に、いくつかマットが敷かれており、そこに寝転んでドーム状となっている天井を見る形となる。
今回お客は私一人だった。上映となると職員さんが遮光のため周りのカーテンを閉め、部屋の外へでて「じゃあ始めますね~」の声で始まった。ちょっとレントゲン撮影のようなムードである。
薄暗くなった部屋のドーム状の天井に星が映し出される。内容は一般的な、当日の夕方から翌朝までに見られる惑星や星座の解説であった。映されている星も3等星くらいまでであろうか、都市部で目視できる星に割と近いためであろうか、大きなプラネタリウムで感じる異世界感は感じなかった。
プラネタリウムを鑑賞している間にもう一人の職員さんが望遠鏡の調整をしてくれていたようで、鑑賞後、階段を上ってすぐに星の観察ができた。
この日は、天候不順の夏にしては珍しく快晴だったので、雲に邪魔されずに観察ができた。見せていただいたのは、金星・水星、うしかい座のアークトゥールス、そして太陽である。太陽はHαフィルターを通した赤い映像である。いま太陽活動は減退期に入った状態らしく、プロミネンスも活発では無いのだが、何とかヒゲ程度には吹き出している様子を観察することができた。貸し切り状態だったからスマホで写真を撮っておけば良かったなぁ…。
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観察できたプロミネンスは、 こんな見事なわけはなく、 | ヒゲが生えた程度の高さだった (上のイラスト矢印先) | 猪名川展望台 2020年秋にドローンで撮影 (観光振興課許可済み) |
巨石めぐり
大野山を含む周辺のかなり広い範囲は、佐曽利カルデラの跡地形と言われている。しかし現在の地形からは確かめようが無い。確かめようが無いのにカルデラが存在していたとされる理由は、周辺から、熱水鉱床や溶結凝灰岩など、大規模な火山噴火があったことが推察される地質が見られるからである。多田銀銅山もそのひとつである。佐曽利カルデラができた時代は白亜紀。恐竜が大陸を跋扈し日本列島はまだ形になっておらず、その元が大陸の縁にあったと言われるころである。
ここ大野山も、そうしてできたカルデラが断層などで断ち切られて突出した部分では無いかとのこと。そしてサブタイトルである巨石であるが、これは溶結凝灰岩といわれ、滞積した火山灰がその重みと熱によって再度溶け、固まったものとされている。その際、節理という決まった方向に割れやすい性質を伴うため、風化によって今の時代に巨石程度まで細かくなってきた、という推察である。
10年ほど前に理科の先生方と訪れて以来、久々の巨石との再会を果たした。







夕方、西の空に明るく見える星が2つ。惑星の木星と土星である。
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2020.12.20撮影 |
この2つの星が日に日に近づいていき、21日には視野角0.1度まで接近した。
久々に望遠鏡を取り出し、アダプターを付けてカメラで撮影してみた。
天体撮影の場合、露出(絞りやシャッター速度)はマニュアル、ピント合わせは望遠鏡側で行う。
ピント合わせやシャッターを押すだけで望遠鏡が揺れるので、10秒のセルフタイマーを用いて撮影した。
素人が買える望遠鏡では、下の写真程度である。
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何とか土星の形が見える? | ガリレオ衛星を写すと木星は露出オーバーとなる |
撮影をしているうちに、西の稜線へ没していったので、上弦の月も撮影。
こちらは惑星と違って、大きく明るいので撮影は楽である。
ちなみに月の直径は地球の1/4、木星は地球の10倍で、40倍の差があるのだが、距離が圧倒的に違うため、見た目の大きさはご覧の通りである。
上弦の月は、横から光の当たるのでクレーターの凹凸が分かりやすい。
大阪平野から西を見ると、六甲山が見える。その六甲山の手前に「兜を伏せたような」小山を見ることができる。この特徴的な山が甲山である。火山のように見えるが…
この山は、この場所で噴火によってできた火山ではなく、「地下深くで」花崗岩の中を貫入してきた溶岩(安山岩質マグマ)が冷え固まったものである。この貫入岩塊が、六甲山ができる原因となった六甲変動という隆起の中で周囲の花崗岩とともに高さを増していった。そして隆起の過程で、風化しやすい周囲の花崗岩が崩れ去り、取りのぞかれて行く中で、硬さを保ち残ったものなのである。
例えるなら、地下深くで眠っていたのに、持ち上げられ、布団を剥がされたという感じだ。
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神戸の自然シリーズ 「六甲山はどうしてできたか」より ![]() |
宝塚市雲雀丘山手から撮影 |
甲山周辺の地質断面図 |
山頂まで上ってみると、頂上部は広場のように広く平らである。太古の昔に、我々の窺い知ることのできない深い地下で、今の山頂部に当たる地点で溶岩の貫入が止まったかと思うと、なんとも不思議な感じがする。
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山頂部にて 2006.04 |
南にある北山ダム側から撮影 2020.04 |
春の陽気に誘われて出かけたいが、新型コロナ騒動のため人混みはNGなので、ドライブしてきた。
行き先は逆瀬川山手にある「ゆずり葉緑地」。
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この地は、明治時代から砂防工事を行ったことから、「兵庫県の砂防発祥の地」とされている。
なぜこの地で古くから砂防工事を行ったかというと…、
六甲山から大量の土砂が、逆瀬川を下って武庫川に流れ込むことで、合流地点の河床を上げる原因となっていた。そして大雨が降ると、行き場を失った大量の水が川を逆流し、周辺で氾濫するという災害が多発した(逆瀬川という名称もこれが由来という説もある)。それを治めるため、土砂が流入しないように山手に砂防堰堤(ダム)を造ったり、広い河原の中に直線上の流水路を作ったりした。こういった砂防工事を通して、洪水を防いできたということだ。ゆずり葉緑地もこうして計画的に作られた流水路脇の緑地である。
ちなみに現在の逆瀬川はこのとき作った流水路そのものであり、当時の河原(幅200mあったとされる)は、現在は川の両岸の高級住宅街となっている。
今回の動画はドライブレコーダーとドローンの映像を合わせてみた。
強い西風の吹く好天の一日。5分が1秒となる300倍速でのタイムラプス撮影をしてみた。午前中は筋状の雲がどんどん生まれて消えて流れていき、午後過ぎからは快晴、穏やかな夕暮れまで。
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https://youtu.be/ECL2V2oGRNw |
高曇りの暖かい春の日、夕方から急に雲行きが怪しくなってきた。
にわか雨がさっと降って、その後に虹が発生。副虹も見える。
またこうやってタイムラプスで撮影してみると、虹の位置がだんだんと南(画面右)へずれていっていることがわかる。これは虹の光源である太陽が、(画面外で)右側から後ろ側へ回り込んでいくためだ。
スクリーン代わりのうすい雨膜を雲が飲み込み、その雲が残照で茜色に染まる。
撮影は基本放置なので、後になって美しい一瞬の光景があったのだと知らされた。
ちなみに最後の日暮れのシーンで画面にチラチラ映っている黒いものはコウモリである。